キャロットクラブについて

出資者決定の仕組み

昨日はシルク・ホースクラブについて記載したが、今日は、シルク同様ノーザンファーム生産馬(育成馬)が多数募集される多数口クラブのキャロットクラブについて話したい。

シルク・ホースクラブが1頭につき500口募集に対し、キャロットクラブは400口募集である。

シルク・ホースクラブでは実績制を採用しているが、キャロットクラブでは、母馬優先制度と最優先制度の2つの制度を導入していて、出資実績額は一切関係ない。よって、一見新規で入会を考える会員に対してシルク・ホースクラブより優しく感じる方もいるかもしれないが、決してそうではないということも含めて紹介したい。

まず、これからの説明で出てくる用語をキャロットクラブの募集を検討するうえでは、基本用語としておさえておいていただきたい。

最優先…1頭だけ1番出資したい馬を指定できる。
×1(バツイチ)…最優先で申し込みしたが、落選した場合にもらえる権利
×2(バツニ)…最優先で申し込みしたが、2年連続落選した場合にもらえる権利
母馬優先…母(キャロットクラブ所属)の現役時代に出資していた会員に割り当てられる200口分の出資権利

母馬優先制度について

キャロットクラブの募集馬において、まず大きく分かれるのが、母馬が現役時にキャロットクラブ所属だったかどうかにより、募集口数の配分が変わる。

母馬がキャロットクラブ所属馬の場合…400口のうち200口が母馬優先枠、200口が一般枠となる。

母馬がキャロットクラブ所属馬でない場合…400口が一般枠となる。

母馬がキャロットクラブ所属馬の場合は、募集口数の半分が母馬優先、つまり母馬に出資していた会員の優先出資枠となっている。母馬に出資していた場合、必ず出資できるというわけではないが、出資できる確率は相当に高いと言える。この点から、新規会員よりも既存会員を優先した制度といえる。また、最優先制度との組み合わせが可能である。

最優先制度について

年度に1頭だけ1番出資したい馬を指定して、「最優先馬」として申し込むことができる。最優先>一般となっているため、優先的に抽選が受けられる仕組みとなっている。

ただし、キャロットクラブは人気が高く、最優先で落選することはざらで、そのために設けられているのが「落選実績」の付与である。

前年度募集にて最優先馬の出資申し込みに落選した場合は、最優先(前年最優先落選)、通称「×1」となり、前々年・前年度募集にて最優先馬の出資申し込みに落選した場合は、最優先(前々年・前年最優先落選)、通称「×2」となる。

ここ数年、「×2」を持っていても出資が確実とならなかった募集馬は1年度当たり1-3頭くらいなので、「×2」を持っていれば出資したい馬に出資できる確率はかなり高いといえる。

母馬優先制度の中でもふれたが、最優先制度と母馬優先制度との組み合わせが可能である。

新規会員の扱い

紹介した二つの制度を見てもらうとわかると思うが、既存会員に有利な制度になっている。

さらにこれだけではなく、新規で会員になろうとする場合、既存会員の申し込みをすべて反映させた後の残口のみが実質出資可能な対象となるため、新規で入会するには募集馬の票読みが非常に重要となってくる。

特に近年は80数頭いる募集馬の中で、対象となる馬は10頭未満となっている。

10頭未満であるため、出資したい馬にピンポイントで出資するというのはまず難しく、新規で入会したいと考える方にとっては非常に酷な制度になっているのがキャロットクラブの特徴である。

出資者決定順ヒエラルキー

上記、「母馬優先制度」と落選実績の付与を伴う「最優先制度」、さらには新規会員冷遇の仕組みがあるため複雑となっているが、権利の強い順に並べると以下の通りとなる。

①母馬がキャロットクラブ所属馬の場合

母馬優先+最優先(前々年、前年落選)

>母馬優先+最優先(前年落選)

>母馬優先+最優先(前年当選)

>母馬優先

>最優先(前々年、前年落選)

>最優先(前年落選)

>最優先(前年当選)

>既存会員一般

>新規会員最優先

>新規会員一般

②母馬がキャロットクラブ所属馬でない場合

>最優先(前々年、前年落選)

>最優先(前年落選)

>最優先(前年当選)

>既存会員一般

>新規会員最優先

>新規会員一般

ちなみに既存会員として扱われるのは入会2年目以降になるので、例えば、新規で最優先で落選し、一般で当選して会員になった場合、2年目は、最優先(前年当選)と同じランクからスタートということになる。

以上のことから、キャロットクラブで出資したい馬にほぼ確実に出資できるのは、4年目ということになるため、辛抱が必要である。

次回は、今回紹介した制度を踏まえた自身にとってのキャロットクラブの位置づけと、戦略について書いていきたいと思う。